ほっ。o○

駅の改札口を通るスーツ姿の息子が すぐ目に入った。
腰が痛むようだ。 私の前では痛い素振りは絶対見せない。
「 お帰り~♪ いかした奴が来たと思ったら息子だった!」
と 出迎えた。
キモ~! それ日記に書かれんよ。皆 引くわ。
「 もう、皆様 引いとるよ。 」
わかる。それ。
「 ひど~!」 と コッパチを入れてやろうとしたら 交わされた。
「 見たん?」
いや~見てない。 」 
———ほっ。o○——–
「 母さんがこの世界から逝なくなった時 見てね。 」
母さんが巣立ちをしたら見るわぁ。」 
——–こいつ見てる。———-
「 もう何度もリセットしようと思ったよ。 」
そのまんまで えんじゃないん! 母さんの歩きよる姿そのものが変わっとるけん!今更思わんよ。
「 まあ~ひどお~ 母さん変?」
あ~! 彼女もしよるよ暇人じゃけん 」 
———ブログのアド教えて!とは 聞けなかった——-
今一番気になっていることに触れるなんて・・・
「そのままでいいんだ」と言ってくれるなんて・・・
子供の言葉でホッとすることは再々あるけれど 長男は ますます頼りになるじゃない!
Web上でも まだまだ弱い部分は見せられないな。前向いてがんばろ!
インターンシップ先では 深夜渡り廊下で 二匹の鹿と出会い。窓からはミヤマクワガタがやってきたそうだ。
そんなこんなを話しながら 途中スーパーにも立ち寄り 帰路に着いた。
買い物先では 例のごとく 私はBig待遇で お姫様気分にさせてくれる。
長男の気心に乾杯☆
そして 彼女に送ったという写真を 私にも送ってくれた。
やっと、長男が帰ってきた。
——–長男は腰椎分離症という持病を持っている。
疲れた時、激しい運動をした後に、痛みが来るようだ。
小学高学年の頃、父親に 窓から外に放り出され 腰を痛めた。
半年以上の通院後 治る気配が無いので、変更した病院でその病名をもらった。
——-
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嬉しいこと 伝えたいのに・・・

今日 耳鼻科に行ってきた。
ちびちゃん(次男)と時間が合わず10日振りの受診だった。
ちびちゃんの鼓膜の穴は以前より小さくなり 聴力の回復も目覚しく良くなっている。
「この調子だと自然治癒も考えられる。」
と 医師が診てくれた。
やった~☆生命力抜群☆ 嬉しくて る~んるん♪♪
夫に いの一番に知らせようと思ったのに 夕刻からお出掛け!
こんな事は再々・・・
今日 久しぶりに私の母が訪ねてくれたようだ 。
ちびちゃんが耳鼻科へ通うことになった経緯を 留守番をしていた孫たちの銘々の言葉で察した母は、
「かわいい孫に手を出さんといて頂戴よ!やっぱり あなたにまるちゃんを渡すんじゃなかったわ!」
と、目と鼻を真っ赤にしてすごい剣幕で婿殿に言い放ち、帰っていったそうだ。
折角こちらに足を運ぶ気になってくれたのに、
また当分は来ないだろう。私は、母の所有物ではありません。渡す?渡さない?だなんて、私を大切に想っていてくれてたの?
夫は、私を好きなように泳がせてくれる。少なからず母より私の意思を尊重してくれる。
母とのプチバトル後、外出した夫は まだ帰らない。
夕刻からの夫のお出掛けは
「しゃ~ない 許してあげよう・・・」
と、思っているんだけどなあ~。
今日、長男がバイトから帰ってくる事のほうが 確実だわ!
——- あら 深夜になってしまった。——-

ヒロちゃんの日記

 
午後4時15分になると さっちゃんがゴミを集めに来てくれる。
さっちゃんを前にすると 私の世界はとてもチッポケなものなので いつも 私が聞き役。
さっちゃんは 実のお姉さんが心臓病で亡くなった後 1年前からヒロちゃんという三十○歳の甥っ子と同居している。
障害者なので歳相応の事が出来ず 今まで一人暮らしだったさっちゃんには負担が大きいらしい。
昨日も
「ねぇ聞いてくれるぅ!」
と、さっちゃんがソファーに座った。
「私も 生八つ橋が好きなんよ。」
生八つ橋?今日は好きな食べ物の話・・・と思いきや
「ヒロちゃんのお世話をしよんのは私なんよ。それなのに姉さんにしかあげんのんよ。」
「やっぱり母親がえんじゃねぇ。」
と、寂しそう。
 
さっちゃんの話
ヒロちゃんは移動できる小さなお仏壇を自分の部屋に置いてある。
お盆前からその周辺はどんどん賑やかになってきた。
毎日お供えものを買い足しているのでお菓子とお花で写真が隠れる程。
さっちゃんは 毎朝 ヒロちゃんに食材の買い物を頼んで仕事に出掛ける。 
仕事から帰ると 頼んであった食品が冷蔵庫にちゃんと収まっているけれど やはりお仏壇も一段と賑やかになっている。
さっちゃんの仕事が休みのある日。
その朝は、ヒロちゃんに買い物を頼まなかった。
ヒロちゃんはいつも以上にそわそわしていて、昼過ぎに
「特産品売り場 見つけたねん。」
と、ぼっそり さっちゃんに言いに来た。
買い物は済ませたばかりだけど 思いついたものをポンと頼んだ。
 
その日の 《 ヒロちゃんの日記 》
 
部屋を出て 部屋に入る 
部屋を出て 部屋に入る 
部屋を出て 部屋に入る 
部屋を出て 部屋に入る 
部屋を出て 部屋に入る 
部屋を出て 部屋に入る 
部屋を出て 部屋に入る 
部屋を出て 部屋に入る 
 
部屋を出て 買い物に行った
さっちゃんが大根買ってきて ゆうたねん
母ちゃんの好きな 生八つ橋こうてきたねん
 
 
ヒロちゃんは30年近く毎日日記を書いている。
さっちゃんは、何気なくそれを見ていると母親の葬儀の時の日記が目に留まった。
たった三行だけど さっちゃんは泣けて泣けて しばらく泣いて・・・ 
ヒロちゃんは普通の人以上に 暖かいんだと気がついた。
私もその話を聞いて 泣けて泣けて 
おそらく真っ赤な目をして、その夕刻、買い物をしていたと思う。
日記の内容は秘密。また泣いてしまうから・・・・・ 
 
 
・・・後に追記・・・  《 ヒロちゃんの日記 》
 
ごめんなさい 母ちゃんが死んだのは僕のせい・・・
それなのに 僕は生まれて良かったと思っています
ごめんなさい  ごめんなさい  ごめんなさい
 

新○浜ヒルズ

まもなく三天タワーと改名予定?の地下一階、一番奥の扉の向こうが私の勤め先。
三役のお取り次ぎ場所でございます。
扉を開けましょう。 日当たり良好。窓の向こうは裏通り。中庭から快い風が入ります。
重厚な表札と殺風景な扉に惑わされてはいけません。結構 室内は快適です。
9坪程のこの部屋で 私はひとりお客様をお待ちしております。
お客様は、私に会いに?いえいえ お三役さまに!でございます。
おいでになられる皆様に はじめに言う決まり言葉。
「あいにく○○は 席を外しております。私で宜しかったら 内容をお聞かせ下さいませ。折り返してご連絡致します。 」
お帰りになられた後、重要度合いを私なりに篩いにかけて適切な時間に上司へ報告となります。
私はいつもひとりです。今自分が考えていることを自分の言葉で話す相手は到底おりません。
昼休み1時間は自分で設定しバックミュージックを流しております。 寂しいものです。
ところが 油断大敵! 皆様 何の前触れもなく通り過ぎます。
“三役さまのお通りだい”
と。
特に 神出鬼没の直属の上司は、ご自分の筋書き通り業務指示を出したあと、 旋風のごとく去っていくのです。
この上司 またの名を 歩く瞬間湯沸かし器と申します。
他の部署と兼務している為 ご多忙中・・・・・
いつも苦虫潰した顔で「おばさんよ~ぉ」と現れます。
こっちがおばさんなら そっちはおじぃ・・・・
いえいえ そんな言い返す余裕はございません。
業務指示は絶対でございますから 去った後はどなた様もご存じないでしょう。
『 混乱 』 です!
前年度そして前々年度の収文や勤務日誌を頼りに身構えてはおりますが、
やはり何度経験しても 上司の指示は微妙に変化しているのです。
  • ひとぉ~つ 縦・横 連絡取り合うことは許されません。
—–それらのつながりは全て 上司のなさる事—–
  • ひとぉ~つ 二度問い直すことは許されません。
  • ひとぉ~つ たった一つの指示だけで一から十までの完璧を要求されます。
  • ひとぉ~つ 自分の考えを言ってはなりません。
——–「あんたは言われた事だけしとりゃぁいいんだよぉ。」
とのこと、矛盾しております———
  • ひとぉ~つ 要求する内容を直ちに頭で構成し 形に表現するまでの期間は、通常は三十分!長くて三日。
  • ひとぉ~つ 先走って書類を作ってはいけません。
—–すみません!毎回作っております。
変更が再三なのでよぉ~く注意しております。—–
業務指示の到来後は 室内を一人でドタバタ・・・迅速に消化します。
私の奮闘する様は 第三者から見ましたら かなり滑稽かと思われます 。
受話器からいつ沸騰音が鳴り出すか……
湯煙をたてて熱い湯が噴き出すのか……
皆目見当がつかない日々でございますが
今日は 唯一救いの神 あんすけさまがいらっしゃいました。
それも先様のK社長と微妙な時間差でのWご来所!
お互い この室内でばったり出会って ぽかんと開いた口を見合いながら
「来とったん!」はとっても愉快でしたよ。
この方々には頭が上がりません。
もう何度となくボランティアで危機を・・・機器を・・・救って下さいました。
お帰りになられた後も ほんわか余韻が漂ってしばらく楽しく仕事が出来た事はいうまでもありません。
またのご来所お待ち申し上げております。
あっ!それより先様 勝手ではございますが 事務所をこの新○浜ヒルズにご移転は如何でしょう。
ご予定は・・・

働き者の足

10円プールへ行ってきた。

監視員さんの足を見た。

セメントタイルが燃えるように熱くって 再々水を打っても流しても まったく 間に合わない。

交代で各テントを回っている。

太陽に向かう時あれば 太陽に背を向ける時もある。

風を感じる時あれば 無風のサウナ状態の時もある。

監視員さんの足は どんな時でも 燃えるセメントタイルの上だった。

水の流れる音を聞き 子供のはしゃぐ音を聞き 心地よい気分になったとしても、

監視員さんの足は それでも 燃えるセメントタイルの上だった。

危険を感じて 子供へ注意の一声を投げる時。

監視員さんの足は ず~っと 燃えるセメントタイルの上だった。

働き者の足を見て!!

値打ちあるよね まる焦げの足。こげこげの足。

—市民プールにて—

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