子供の成長は目覚しいもので その折々 惚れ惚れするほどの感動を与えてくれる。
その感動をすぐさま知らせたくても、肝心な人が傍にいない。
子供達の父親の帰宅を待ちかねて 焦る気持ちを抑えながら 殿の話をまず聞いて その後 ようやく私がその日の感動話しをはじめようとすると、
「あんた何言いたいん」と、邪険に扱う。
殿は長い話は嫌い。自分の目で確認したものしか信じない。
自分の目に触れて、さも初めての情報を得たかのように喜ぶ。
私を信じていないの?
だからいつもすれ違い。一緒に同時に感動することはない。
そんな事を何度も繰り返した。
殿は、タクサンの自分の世界を持っている。
いずれもその世界に私を誘ってくれたことがない。
新婚当初から私を連れ歩いたことがない。
たまの呼び出しは、それは使い走り。届け終わったら軽くあしらう。
私の存在をナンダと思っているの?
と 何度も尋ねたことがある。
殿のお帰りが午前様の日をカレンダーに付けて、一ヶ月全てチェックが付いた。
子育てまっ最中よ。今よ、今!もっと子育てに協力してちょうだい
と幾度も頼み込んだ。
すると、二次会三次会と称して思わぬ来客を引き連れて帰り、我が家が急遽宴会場となることが多くなった。
私は冷蔵庫にあるだけの材料を使って おもてなしをする。
殿の笑顔はそういった場でしか見れないから・・・
め~いっぱい頑張る。
来客が「まるちゃんも座ろや~」と声を掛けてくれても
「付け上がるけん かまうな」と殿は言う。
はぁ!私は付け上がるような妻じゃありません
と心の中で叫ぶ。
「まるちゃんはそんな子じゃなかろ。もっと優しい言葉掛けてあげな!」
と言う友には、好みの焼酎をそっとお注ぎする。
そうよそうよ○と
「先輩 カッコいいっすねぇ!」と言う若造もいる。
はぁ!あなた大バカ者!今時そんな事言ったら家庭崩壊よ
殿は、子供たちの前で私の言動に揚げ足をとり 「ハン!」と、けなして一日がはじまる。
私が仕事の疲れで通常の家事に滞りがあると 「仕事はいつ辞めてくれてもえんぞ!」 と言う。
私は実家に帰る事だけはしたくなかった。 どんなに辛い事があっても 食事のお誘い以外に帰った事が無い。
母の元では 私は私で無くなる。
全て母の思い通りにしないといつも批判がついてくる。
私は与えられている環境の中で 楽しく生活をする方法を考えた。
乳母車を押して 東から西へそして山の端まで良くお散歩をした。
この家を拠点にして子供と向き合う楽しさを覚えた。
波が足元に寄せてくる と言っては子供とともに喜び
いたちが出る と言っては 待ち伏せしたり
さざんかの花びらが舞い落ちた と言っては拾い集めて路上に貼り絵をして遊び
子供が命となった 支えとなった
殿は夫ではなく 一番手の掛かる反抗期真っ只中の家族の一員!
子供たちのお父さんを そんな風に思っている私は最低の妻?母?
と何度も自問自答する。
子育てに関与しなかった罪は重い
妻の存在を邪険に扱った罪は重い
この十数年の積もり積もった私の想いは重い
子供が巣立った暁には 私もこの家を巣立ちすることを考える。
ただ今 逃亡資金○万円!
まもなく修学旅行の資金で消える予定 ありゃま・・・
《 散々ひどいことを言ったから 夫の良いところを並べましょう 》
- 根からの職人気質で綺麗な仕事をする
- 時間に厳しい
- 車での事故は一切起こしたことが無い
- 妻は別として 友達には優しい
- 賭け事は一切しない タバコも吸わない
- 決断が早い