「座らんか」

寒波到来で冷え冷えとしている大晦日。
一年の埃を取らねば!!
「自分の部屋の掃除はもちろんのこと、全室の窓を磨いてね。特にサッシ枠をね。」
と、子供達に指示を出し、私は大掃除を張り切って三日目だった。
夫が家に居るときは大概リビングにこもるので、その部屋の掃除は なかなかはかどらない。
16時過ぎ、
「お~い。」
と、夫が呼ぶ。
行ってみると、レースのカーテン越しに陽が当たる明るくて暖かい部屋のど真ん中で、
本人は暮の大掃除もせずにお昼過ぎに出かけたときそのまんまのジャンパーを着て、
(そろそろ引退したら?って思うソフトボールチームのジャンパー、それもゼッケンの替りに胸に終身!って刺繍。)
テレビを見ながらコタツに足を突っ込んで横になっている。
『どしたん?』
と、ありったけの仏心で優しく聞いたら
なんと
「おなかがすいたあ。」
・・・ 3時間前に皆でお昼ご飯食べたばかりじゃない。動いてないのにどうしておなかがすくの? ・・・
『カウントダウンまでに掃除を終わらせたいから しばらくお茶で我慢してね。』
「もうあきらめろ。座らんか。」「寒い寒い。玄関閉めてくれ。」
一番広い部屋のど真ん中でドンと座っている夫の姿は、昔から変わらない。まさしく終身だ!
目に見える在るがままの姿だけを私は信じるようにしてきた。
この夫に渇を入れられ檄を飛ばされながら子供たちは育った。
子供たちにとって父親がカリスマ的存在なのはどうしてだろう???
父親に認めてもらおうと子ども達は非常に良く努力をしている。みな優しく真っ直ぐ過ぎる位にまっすぐ育っている。
2年前進学のため家を出て行った長女は、今春、松山の地で社会人となる。
卒業とともに、新居浜に戻ってくれると思っていたのは浅はかだった。
長男、次男、次女、来春、銘々の進路で家を出ると言う。
そうなんだー。。。みんな巣立って行くんだー。
来春は25年振りに 夫と私は二人きりの新婚生活に戻るの???
寂しくないって言えば嘘になる。泣きたくなったら、夫にもっと甘えてみようかな。
しおらしい気持ちに照れて、無造作にお茶をすすめながら夫と肩を並べてコタツに座った。
「あれ?掃除終わったん?」
と、不思議がる子ども達に
『味見!味見!』
と、私は立ち上がって上手にできたおつゆと 前夜から仕込んであるおでんを続いて小皿に振舞いながら
『今日の夕飯は、例年どおり年越し蕎麦と おでんよ。』
と、おどけながら夕飯宣言をした。

コーヒー

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